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白磁碗

邢州窯
晩唐(9世紀)
高 4.8 cm 口径 14.8 cm 高台径 6.3 cm

Xingzhou ware
Late Tang (9th century)
H. 4.8 cm Mouth Dia. 14.8 cm Foot Dia. 6.3 cm




直線的に立ち上がった側面のライン、口縁がやや玉縁になった形式の碗は、喫茶文化の高まりと相まって唐代後半期に流行しました。碗として無駄がない大変洗練された作品で、唐末から宋磁へ発展していくシャープさの片鱗が感じられると同時に、唐代の上品な柔らかさも兼備しています。底部を見ると幅広の輪状になった中〜晩唐期に特徴的な高台をしており、これは古代の玉の「璧」のようであるとして「玉璧底高台」などと呼ばれるものです。浙江省の越州窯でも中唐頃より見られる形式で、強い同時代性が感じられます。

白磁は隋時代頃に完成をみましたが、中〜晩唐期には新たな美質を有した白磁が現れました。それが中唐期の茶文化を記した陸羽の『茶経』に、銀とも雪とも喩えられた邢窯白磁です。本作はその邢窯白磁の典型と云えます。しっとりとした純白の白磁は、冷たさよりも落ち着いた品格を感じさせるような美感を有しており、まさに雪のような趣き深い白磁と云えるでしょう。鑑賞にも、実用にも供したくなるような一品です。