繭山龍泉堂.
Mayuyama & Co., Ltd., Tokyo.
小壺に三足の脚が付いたような鍑という器形は唐時代に流行しました。金銀器を祖型とした器形のため、初唐頃はより金銀器に忠実でシャープな造形をしていましたが、時代を経るごとに曲線的で優美なフォルムに変わっていきます。そういった特徴から、本作は唐時代後半期の作例と考えられます。同じく晩唐期の越州窯青磁にも脚付小壺がありますが、やはり穏やかな造形で、強い同時代性が感じられます。
本作では褐釉一色が施釉されていますが、釉薬のムラによって生まれた自然なグラデーションとなって多色が重なったように見える釉の奥行きが感じられます。さらに褐釉はガラス質が強く透明感もあり、まるで琥珀を見るようです。底部を見ると3つの目跡を残した総釉掛けとなっており、非常に丁寧な作ぶりが見て取れるでしょう。
繭山龍泉堂でかつて取り扱った品物で、往時の箱が付属しています。