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褐釉皮嚢壺

遼(11世紀)
高 30.7 cm 胴径 9.5 cm

Liao dynasty (11th century)
H. 30.7 cm Torso Dia. 9.5 cm




光沢のある琥珀のような色調の美しい褐釉がかかる皮嚢(ひのう)壺で、遼皮嚢壺では最も美しいものの一つと云える逸品です。契丹人による遼では、それ以前の中国では見られなかった器形のやきものが多くつくられ、皮嚢壺はそれらを代表する器形の一つです。騎馬民族である契丹の人々が携帯していた水やお酒を入れる皮袋を模したもので、初期のものは、皮袋の器形を忠実に写す扁壺の器体に携帯するための紐を通すための穴の開いた耳状の釣り手が付き、皮を縫い合わせた糸を模す細工が施されたものも見られました。本作はそれらよりも後期の作で、釉色の美しさにより心を配ったものとなっています。

本作に目を移すと、すらりと背が高く、曲面が強調された器形が特徴的です。白化粧を施した器体に掛けられた明るい褐釉の釉色も相まって、祖型である皮袋の持つまろやかさが感じられます。一方、スリムな器体に反してがっしりと厚みのある高台の作りには野趣もあり、そこに遼磁らしさが見られます。