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青銅金緑松石象嵌帯鉤

戦国(紀元前4~紀元前3世紀)
長 22.0 cm 幅 2.7 cm

来歴

Far East Gallery, トロント, 1970年代.
伝 Albert Y. P. Lee(1930~2021年)旧蔵.




Warring States (4th century BC–3rd century BC)
L. 22.0 cm W. 2.7 cm

PROVENANCE

Far East Gallery, Toronto, 1970s.
Albert Y. P. Lee (1930–2021) Collection, by repute.






金と緑松石(トルコ石)を象嵌(ぞうがん)した戦国時代の帯鉤(たいこう)です。帯鉤とは腰帯を留める金具、今日で云えばベルトのバックルにあたるもので、その実用性のみならず身分を象徴する装身具として、戦国時代から漢時代にかけて盛んに用いられました。流線型の青銅製ベースに緑松石を敷き詰め、その中に丸や渦巻、そして線状の金を嵌め込み幾何学的文様を表している大変華やかな一品です。また、青銅製の土台部分は、身体に沿うように造形されており、機能性も考慮してつくられていることがわかります。

象嵌とは素地を彫り、金銀玉石などの異なる素材を嵌め込む装飾技法のことです。春秋時代末から戦国時代に青銅象嵌が見られるようになり、嵌め込む素材も孔雀石や緑松石などの貴石を使用して、表される文様も華やかかつ精緻なものとなりました。

旧蔵者として伝わるAlbert Y. P. Lee(1930~2021年)は、清朝末の政治家である李鴻章(1823〜1901年)の孫であり、20世紀を代表する金石蒐集家である父親Li Yingshuan(李蔭軒、1911〜1972年)のコレクションを間近にして育ち、長じて後、父同様、青銅器や玉など金石の蒐集を始めました。自身のコレクションを拓本にし、その内容を歴史書を片手に読み解くほど学究肌だった氏は、父の逝去後、上海美術館に寄贈されたその青銅器のコレクションに関する本を美術館と共著で出版し、その中には自身が10代の頃に制作した碑文の拓本も掲載されています。また、1970年代から90年代にかけては、カナダのトロントで「Far East Gallery」を経営していました。