Far East Gallery, トロント, 1970年代.
伝 Albert Y. P. Lee(1930~2021年)旧蔵.
Far East Gallery, Toronto, 1970s.
Albert Y. P. Lee (1930–2021) Collection, by repute.
金と緑松石(トルコ石)を
象嵌とは素地を彫り、金銀玉石などの異なる素材を嵌め込む装飾技法のことです。春秋時代末から戦国時代に青銅象嵌が見られるようになり、嵌め込む素材も孔雀石や緑松石などの貴石を使用して、表される文様も華やかかつ精緻なものとなりました。
旧蔵者として伝わるAlbert Y. P. Lee(1930~2021年)は、清朝末の政治家である李鴻章(1823〜1901年)の孫であり、20世紀を代表する金石蒐集家である父親Li Yingshuan(李蔭軒、1911〜1972年)のコレクションを間近にして育ち、長じて後、父同様、青銅器や玉など金石の蒐集を始めました。自身のコレクションを拓本にし、その内容を歴史書を片手に読み解くほど学究肌だった氏は、父の逝去後、上海美術館に寄贈されたその青銅器のコレクションに関する本を美術館と共著で出版し、その中には自身が10代の頃に制作した碑文の拓本も掲載されています。また、1970年代から90年代にかけては、カナダのトロントで「Far East Gallery」を経営していました。