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青釉銀化灯火器

イラン, カシャーン
12世紀
高 7.8 cm 全幅 8.2 cm

来歴

安田靫彦(1884年〜1978年)箱書.


出展

やきもの教室 ペルシア陶器, 1964年7月, 日本橋白木屋.




Kashan, Iran
12th century
H. 7.8 cm W. 8.2 cm

PROVENANCE

Box inscription by Yasuda Yukihiko (1884 – 1978).


EXHIBITED

Ceramic Exhibition, Persian Ceramics, July 1964, Nihonbashi Shirokiya, Tokyo.






全体が美しい銀色に覆われ、その合間から覗く青釉がターコイズのように鮮やかな一品です。12世紀頃ペルシアで作られたやきもので、油を入れて火を灯すためのオイルランプと考えられます。12世紀のペルシア陶器は、中国から輸出された青磁や白磁に影響を受けて発展したとされており、青釉は青磁に重なるイメージを持っていたと思われます。しかしその独特の青の発色からは、彼の地で古来より産出されたターコイズと共通する美意識が感じられ、東アジアとは異なる中央アジア特有の魅力を有していると云えるでしょう。

当初は総体が青色で覆われていましたが、長い間土中にあることで釉上に化学変化が生じ、発生した薄い塗膜が光を乱反射することで銀色や虹色に光り輝いています。これを「銀化」呼び、時の作り出した美的要素として鑑賞する見どころとなっています。

本作は日本画家、安田靫彦(1884〜1978年)の旧蔵品です。靱彦は仏教美術や中国陶磁を始め、古今東西の美しいものを蒐集したコレクターとしても知られていますが、ペルシア陶器もその例に漏れない魅力的なものだったのでしょう。また、この灯火器は1964年日本橋白木屋で開催されたペルシア陶器の展覧会に出陳された出品歴もあり、これらの来歴も作品の価値を高めるものと云えます。