清時代の康煕年間(1662〜1722年)につくられた青花の盤です。歪みのない端正な器形、純白に近い白色の素地、幾何学文の中に石榴を描く窓絵が6つ設けられた外縁、滲みが少ない線と呉須の濃淡を使い分けて描かれた見込みの絵画的文様。あたかも額縁に入る絵画のような一品で、それ以前の元や明時代の青花とは趣を大きく異にします。裏面の高台内には「大清康煕年製」の年銘が入っています。
17世紀初頭から、ヨーロッパではシノワズリーが流行し、上流階級の人々は競うように屋敷を中国陶磁で飾り立てました。その往年の様子は、いまでもドレスデンのツヴィンガー宮殿やベルリンのシャルロッテンブルク宮殿の「磁器の間」に見られます。当然のことながら、中国陶磁のヨーロッパへの輸出量は、その需要に応えるために飛躍的に増大しました。この時代の陶磁器に絵画的主題が多いのは、同時代の中国における絵手本の流行に寄与すると云われていますが、それだけでなく、国外での需要を満たすためには、元や明時代のような文様図案的な主題よりも人物や建物を描く絵画的主題の方が中国趣味を表現する上でより相応しかったとも考えられます。
元染や明の青花とは異なる世界に進出した青花の魅力が感じられる一品です。是非、お手にとってご覧いただければと思います。