径が50センチを超える大型の青花の盤です。明時代後期、景徳鎮窯の作です。口縁が輪花になり、周縁部の蓮弁形窓絵に八宝文と草果文が交互に配され、その間に幾何学文と瓔珞文が描かれています。同じく幾何学文で縁取りされた見込みには、渦巻く雲文と水辺の鳥文が手慣れた筆致で明瞭に描かれています。磁胎は大変白く、濁りのない呉須の色が映えています。同時期作の芙蓉手には見込みに鳥を描いているものが散見されますが、獲物を仕留めているというのはあまり目にすることのない珍しい図様です。
本作のように周縁部が花弁状の青花盤は芙蓉手と呼ばれ、輸出用の貿易陶磁としてつくられていたものです。そのほとんどは径が30センチを超える大型のものとなっていますが、仕向地での使われ方を反映したものと考えられています。またその周縁部が花弁形となっているのも、イスラムの陶器や金銀器を模したものと云われ、やはり輸出することを念頭に作られていたことの証しとも云えましょう。芙蓉手の様式は萬暦の頃には完成していたと云われています。本作もその作行きから1600年前後の作と考えられ、同手のものはトルコのトプカプ宮殿やイランのアルデビル廟などに多く見られ、芙蓉手の中でも大変上手のものとされています。