欧州旧家(1970~1980年代初頭に購入)旧蔵.
Benjamin J. Stein, アムステルダム, 1982年.
Old European Collection (purchased between 1970 and early 1980s).
Benjamin J. Stein, Amsterdam, 1982.
球体のように丸く張った胴に短い筒状の注口と把手がつく盛唐から中唐にかけてつくられた褐釉の水注です。胴部に巡る数本の圏線や把手上下部の鋲状装飾は、祖型であった金銀器の名残りと云えましょう。ベタ高台にはくっきりと轆轤目が残り、白磁などとは異なる少し赤味のある胎土が使われていることが見てとれます。全体のフォルムや釉色、そして胎土の焼き上がりなどから、柔和な親しみやすさが感じられます。
本作のこのような特徴、そして何よりも全体から醸し出されるたっぷりと豊かな雰囲気は唐時代独特のものです。どうぞ唐代の風を是非お手元でお楽しみください。