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青磁鉢

高麗(12世紀)
高 9.7 cm 口径 22.3 cm

Koryo dynasty (12th century)
H. 9.7 cm Mouth Dia. 22.3 cm




大ぶりな素文の青磁鉢です。12世紀頃の高麗で作られました。僧が托鉢の際に手にする鉄鉢のような形をし、底はベタ底になっています。内湾して立ち上がる側面は口縁下から鋭く立ち上がっています。仏教が盛んだったという時代背景もあるのか、鉄鉢を思わせる鉢は高麗青磁でしばしば見られますが、祖型の金属器の面影が感じられる口縁下のラインは、本作の見どころの一つです。

高麗では越州窯の影響を受けて9世紀から10世紀にかけて初源的青磁がつくられるようになり、その後、耀州窯、汝窯などの華北の感覚と景徳鎮青白磁の端正な造形性など、中国陶磁の様々な要素を取り込みながら製陶技術を向上させ、11世紀末から12世紀にかけて、洗練された器形と「翡色」と称される淡青緑の美しい釉色を有する高麗独自の優れた青磁を生み出しました。本作はその翡色の時代の作ではありますが、この釉色は翡色と呼ぶよりも汝窯の天青釉を思わせる青味の強い発色であることは特筆すべき点の一つです。

翡翠を思わせる釉色や精巧な造形の高麗青磁には内に秘めるような美質がありますが、本作のボリューム感ある器形や青味を有する釉色などは、どこか宋磁的な気分の大きさが感じられ、大変魅力的な一品です。