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青磁盞

龍泉窯
南宋(13世紀)
高 4.6 cm 口径 12.7 cm

Longquan ware
Southern Song dynasty (13th century)
H. 4.6 cm Mouth Dia. 12.7 cm




南宋龍泉窯の盞です。この盞の器形は、その前時代の北宋期の定窯や影青で流行した器形であり、その流れを引き継いだものと云えるでしょう。龍泉窯青磁は南宋時代に興隆期を迎え、俗に砧青磁と呼ばれる明快で華やかな青磁を完成させました。それゆえこの青磁盞は北宋のクラシックで直線的な形状の上に、南宋の優美さを纏った一品とも云えるでしょう。

裏を返すと中国で斗笠碗と呼ばれているように編笠形となり、さらに高台が非常に小さく引き締まっていることが分かります。畳付きは緋色になっていますが、それはやや灰白色の龍泉窯の土に含まれる鉄分が酸化したもので、典型的な龍泉窯作品の特徴を備えています。

本作には古箱と仕覆が付属しています。龍泉窯の盞では著名なものに、茶人・片桐石州旧蔵とされ鹿苑寺に伝来する「雨龍」という作品がありますが、この青磁盞も同様に古くから日本で伝来した作品と思われます。雨龍の由来はこの龍泉窯の盞のタイプに特徴的な口縁部から側面に流れる刃文のような釉薬の溜まりが、雨雲とその奥に潜む龍を想起させることからの連想でしょう。本作にも同様の特徴が見られます。