耀州窯青磁は龍泉窯などに比して深みのある釉調に特徴があり、その色彩は「オリーブグリーン」と表現されます。ただしその色味は年代によって変化があります。初期は白化粧の上に掛けられた淡く繊細な青に始まり、時代を経るに従って濃い緑へと変化していきます。この碗は北宋後半期の明るいオリーブグリーンで、若草のような爽やかさがあります。器形もやや薄手の良いもので、釉調と相まって軽やかな印象も感じられます。
また、耀州窯は刻花や印花を以って器面を装飾する点に特色があります。刻された凹凸に自然と生まれる釉の濃淡が奥行感を生み出し、文様をより立体的なものにしています。本作は分割された見込にバランス良く牡丹文が配され、幾何学的な美しさと文様の美しさを兼備した名品です。
古く日本へ伝わった品物で、旧蔵者によって仕覆の付いた茶方の仕立てになっています。鑑賞としては勿論のこと、用いる愉しみもあるかもしれません。