唐時代の終わりに、長江中流域に位置する湖南省の長沙窯で制作された合子です。一見曲線的なフォルムに見えますが、蓋の縁のエッジや蓋を外した身の立ち上がり部分、身から底面へと繋がる箇所など随所に切れ味を感じさせることで、柔らかくも引き締まった造形となっています。
長沙窯は、青磁の釉下に鉄や銅の顔料を用いて彩画するやきものを生み出したことで知られています。本作では、鉄系の色彩による簡略で親しみやすい草花のような文様が描かれています。顔料の濃淡によって濃い部分は黒に近く、薄い部分は茶色になっており、蓋上の文様全体が巡るようなリズムを獲得しています。
