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青磁魚篭形水注

越州窯
晩唐(9世紀)
高 18.5 cm 幅 13.4 cm

Yuezhou ware
Late Tang (9th century)
H. 18.5 cm W. 13.4 cm




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俗に魚籠形と呼ばれる形の水注です。曲線的なフォルムと短い注口、帯状の把手が特徴的なこの魚籠形水注は中唐から晩唐期の越州窯で作られました。優雅な形状は唐の豊かさと宋磁に連なっていく洗練さの融合とも云えるもので、時代の移り変わる唐後半期という時代ならではの美質を体現していると云えます。柔らかい胴部とは対象的に、口縁部や注口にはシャープな要素が垣間見られます。高台はすっきりとした幅の広い輪高台であることも特徴の一つです。

釉薬も明るく青みの強い若草を思わせる見事な青磁の発色で、この時代の越州窯の最高の釉色と云っても過言ないかもしれません。これは青磁史上でも最も優れた青磁の色の一つと思われます。

この魚籠形の水注は現存例が極めて少なく、現在故宮博物院所蔵となっている王叔文婦人墓(浙江省紹興市古城村)唐・元和5年(810年)のものや、安徽伍氏墓(824年)の例があります。高台の作りも中唐や晩唐的な玉壁底のようなものや、宋磁の主流に連なる本作のような輪高台のものもあり、まさに時代が変化する過渡期の例として様々な示唆に富む重要な作例と云えるでしょう。