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青磁印文盂

越窯
西晋(3~4世紀)
高 3.5 cm 胴径 8.4 cm

来歴

Mathias Komor, ニューヨーク, 1947年.
Herbert(1917~2016年)and Florence(1920~2018年)Irving 旧蔵.
The Metropolitan Museum, ニューヨーク.

 




Yue ware
Western Jin dynasty (3th–4th centuries)
H. 3.5 cm Torso Dia. 8.4 cm

PROVENANCE

Mathias Komor, New York, 1947.
Herbert (1917–2016) and Florence (1920–2018) Irving Collection.
The Metropolitan Museum, New York.






SOLD

網目になった菱形の印花が目を惹く、越窯で作られた青磁小壺です。印花ゆえに釉の溜まった箇所はガラス質が強くなり、奥行きを感じさせる点は見所でしょう。この形状は水を入れ、硯に水を移すための水盂とも言われています。よく整い芯を感じさせる器体をしており、小品であっても存在感があります。底部は非常にシンプルな作りですが、それがかえって無駄のない熟達した陶工の技を感じさせます。飾り気のない僅かな凹凸でもって、整った弱々しくない印象を持たせることは想像以上に難しいものです。

漢代の終わりには釉薬の均一な青磁が完成を見ますが、当初は希少で特別なうつわでした。三国時代を経て西晋になると、青磁の技術は安定し焼造量も飛躍的に増加します。この時期〜南朝頃までの越窯青磁一群を唐中期以降の越州窯と区別して、古い時代の越窯の作、すなわち「古越磁」として呼び慣わしています。現在イメージされるような明るく美麗な青磁作品とは趣きが異なるかもしれませんが、古越磁は青磁の初源的な力強さと、若草のような初々しい微妙な釉の魅力のあるタイプです。

アメリカで活躍した古美術商Mathias Komorが1946年に扱ったもので、恐らく戦前期に出土した作例と思われます。Komorはいくつかの米国の美術館のコンサルタントを務めるなど、高い見識眼によってアメリカの東洋美術蒐集に寄与しました。本作はのちにコレクターの手を経てメトロポリタン美術館の所蔵となっています。