マユヤマオンラインコレクションロゴ
Loading...

色絵梅花七宝文葉形皿(古鍋島)

有田 大川内窯
江戸(17世紀)
高 3.1 cm 径 16.1 cm

来歴

Oliver(1936〜2005年)and Jane(1938〜2011年)Impey 旧蔵.




Arita ware, Okawachi kiln
Edo (17th century)
H. 3.1 cm Dia. 16.1 cm

PROVENANCE

Oliver (1936–2005) and Jane (1938–2011) Impey Collection.






江戸時代17世紀に九州の有田で焼成された「古鍋」とも称される小振りな皿です。型成形による変形皿の上部に素地の白さを活かした大きな葉文を三枚あしらい、下部には水面に浮かぶ梅の花が描かれています。葉の葉脈と茎の部分は立体的に表現され、水文も細かな十字七宝を染付で充足するなど手の込んだ造りとなっています。外側面には染付による唐草文が配され、三角形の高台外周に櫛目文が入っています。

鍋島は、江戸時代に鍋島藩が将軍や武家に献上するために焼成した陶磁器であったことで知られ、規格化された大きさ、端正な造形、高い高台、独自で定型的な文様構成と鮮やかな色彩がその特徴とされています。「古鍋」とはその初期につくられた鍋島様式草創期の作品の呼称で、型成形の変形小皿、定型化されていない文様構成、外側面が無文のものもあるなどがその特徴として挙げられます。本作も、型成形の変形小皿で、文様構成も定型化されたものではないという特徴がありますが、一方で、外側面への染付の絵付け、高台の櫛目文、染付による緻密な地文様など後の鍋島焼に続く萌芽がはっきり看取できます。古鍋には松ヶ谷手と呼ばれるものもあり、それらは猿川窯で焼成が始まったと考えられていますが、その後、藩窯としてその陶工や技術の漏洩を防ぐために人里から離れた大川内という地区に窯を移転したと云われています。本作はその特徴から、その大川内窯初期の頃の作と考えられ、藩窯として、藩の威信をかけて他窯では作れない最高級のやきものを作ろうという陶工の矜持が感じられる作品です。

旧蔵者のOliver Impey(1936〜2005年)は、オックスフォード大学の日本美術准教授でありアシュモレアン博物館東洋美術部門の責任者だった人物です。欧州における日本美術の認知を広めることに大きく寄与しました。