欧州旧家(1940年代)旧蔵.
Old European Collection, 1940s.
中国南方で焼かれた青白磁の穀倉のミニチュアです。当時実在した建築を模しており、どことなく牧歌的な雰囲気が漂う立体作品としての魅力があります。植物を編んだようなデザインの屋根が蓋で、高床式になった下部が容器となっています。内部には実際に穀物を入れ、葬送や儀礼の際に供えたものかもしれません。器体は直立しておらず、扉と思われる正面は簡略な刻線で表し、所々釉薬が剥がれているなど全体にざっくりとした作りですが、不思議とそれらがかえって野趣を感じさせる面白い一品です。
宋代の青白磁は景徳鎮が優れた窯として知られますが、その影響によって同時期の中国南方湾岸部一帯に広がりを見せました。特に本作のような青白磁を産したと思われる福建省や広東省にはかなりの窯が興り、青白磁を生産していました。それらは景徳鎮の精緻さや高い技巧には及びませんが、南方の風土や自由な感覚が造形に表れたローカル独特の魅力があると云えるでしょう。
1940年代に欧州のコレクションに入ったという古い来歴があります。