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加彩胡人俑

初唐(7世紀)
高 23.1 cm

来歴

Raymond A. Bidwell(1876~1954年)旧蔵.
Museum of Fine Arts, スプリングフィールド.


所載

The Raymond A. and Bertha U. Bidwell Fund『The Raymond A. Bidwell Collection of Chinese Bronzes and Ceramics』1965年, 図版62, C82, p. 66.




Early Tang (7th century)
H. 23.1 cm

PROVENANCE

Raymond A. Bidwell (1876-1954) Collection.
Museum of Fine Arts, Springfield.


LITERATURE

The Raymond A. and Bertha U. Bidwell Fund, The Raymond A. Bidwell Collection of Chinese Bronzes and Ceramics, 1965, pl. 62, C82, p. 66.






中国で7世紀に興った唐王朝は大唐帝国と称するに値するほど周辺諸国に強い影響力を持ち、国際色豊かな大国でした。本作はそうした唐の風をよく伝える胡人の陶俑です。胡人とは広義では異民族を意味しますが、中国美術では特に中近東など西方の民族を指して使われます。

本作は、シルクロードを通って唐と往来をしていたソグド系の商人を象った人物俑です。彫りが深くあごひげを豊かに蓄えた面貌や尖頂帽、ブーツ、膝丈までの外衣などから、あきらかに中国人(漢民族)ではないことがわかるエキゾチックな表現です。白化粧の上にほどこされた着彩が、いまも着衣やブーツの部分によく残っています。大きな荷を背負い、左手には水瓶のようなものを手にしたうつむきがちな姿からは、はるばる西方から歩いてきた道のりや彼の疲労感までが伝わってきます。また、高い頬骨に大きな鉤鼻が特徴的な面貌表現や着衣の厚み・質感が感じられる衣紋、そして荷物の背負い紐の結び目など、細かい部分まで大変写実的に表現された魅力にあふれる一品です。

旧蔵者のRaymond A. Bidwell(1876~1954年)は、アメリカ、マサチューセッツ州スプリングフィールド出身の弁護士で、浮世絵と中国美術を蒐集していました。美術館の機関誌に寄稿したり、1935〜1936年にロンドンのRoyal Academy of Arts で開催された「International Exhibition of Chinese Art」をはじめとする様々な展覧会にコレクションを出陳していたという経歴をもつ学究肌で鑑識眼の高い蒐集家でした。