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加彩官女俑

初唐(7世紀)
高 30.4 cm

来歴

C. T. Loo & Co., パリ.




Early Tang (7th century)
H. 30.4 cm

PROVENANCE

C. T. Loo & Co., Paris.






初唐の頃に作られた官女俑です。両手を体の正面で揃えて立つ静かな雰囲気をたたえた一品です。顔立ちや着衣の表現はシンプルですが、刀のような形に高く結い上げた髪型で指先が隠れるほど長い袖の上衣と長い裙を身につけ、肩に披帛を羽織った姿は、当時の女性の髪型や服飾を具象的に表しています。特にこの特徴的な高髻は初唐でも早い時期に流行していたものです。その頭髪や着衣には今も彩色が残っており、着衣と披帛に見られる緑色と赤のコントラストは、往時どれほど華やかだったのだろうかと想像が膨らみます。

陶製人形としての陶俑は春秋戦国の頃から見られるようになりますが、その歴史の中でも唐時代はおびただしい数が作られていたことで知られています。それは皇室や高官が大規模な陵墓を造営し、その傾向が官人や富裕階層まで拡大していたからです。その中でも初唐の頃に作られた俑は、新たな風俗を写生的かつ装飾的に取り入れていると言われており、それは本作にも看取される特徴です。

来歴にあるC. T. Loo(1880〜1957年)は、欧米を中心に中国美術や東南アジア美術、特に鑑賞美術をひろめた立役者の一人として名があげられるアートディーラーです。パリとニューヨークを拠点にしていましたが、殊にアメリカにおける中国美術の体系的蒐集に寄与したと言われ、彼の顧客にはJohn Rockfeller Jr.(1874〜1960年)、Carles Lang Freer(1854〜1919年)、Henry Frick(1849〜1919年)など著名なコレクターが名を連ねていました。