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加彩官人俑及び加彩官女俑

北魏(6世紀)
官人:高 17.6 cm, 官女:高 16.1 cm

Northern Wei dynasty (6th century)
Officer: H. 17.6 cm, Court Lady: H. 16.1 cm




非常に色彩の美しい北魏の俑一対です。この時代に特徴的な古格ある微笑の表情は何とも魅力的で、雲崗石窟などに代表される仏教彫刻に匹敵する高い表現力を見せています。衣の柔らかさまでも感じさせる繊細さがあり、その薄くしなやかな衣ずれの音まで聞こえてくるようです。特に官女俑の裳裾を手繰り寄せる動きは、僅かな動作ではありますが大変に印象的です。また冒頭にも述べたように本作の色彩は抜群で、下地の白の上の鮮やかな朱と優しい淡緑色、そして官女俑の裾には美しい青色の顔料が残っています。これは金よりも希少と言われた西方産のラピスラズリと思われ、北魏時代における色彩の豊かさを今に伝えています。

20世紀の初頭、中国の開発とともに俑が市場へ現れ、世界中の蒐集家の元へ渡っていくことになります。日本でも鑑賞陶磁の流行の高まった時期であり、当時新進のコレクターによって優品が続々と将来されていきます。先述したような仏教彫刻にも通ずる高い精神性と、気品を兼ね備えた北魏俑は特に蒐集家垂涎の的となりました。20世紀の後半には、中国本土のさらなる発展によって新たな出土品が登場し香港を経由して市場を賑わせましたが、それらは戦前出土のものとはやや趣を異にする品も多くありました。古くの出土品は、北魏の都であった洛陽周辺の質の高い墳墓より出土した品が多かったことなども関係するのかもしれません。本作は二体一対の古い支那箱に収まった戦前からの伝来と思われ、当時の見識あるコレクターによって一対に仕立てられたものと考えられます。