唐時代は、初唐・盛唐・中唐・晩唐の四つの時期に区分されます。本品はそういった中の盛唐期に焼成された
鍑は大ぶりのものは珍しく、なかなか市場に出てきません。また出てきても疑問の残るものが殆どです。そういったものは、お尻(底部)が平坦になっている場合が多く、また、重さが少々重いことが多いように思います。本作は丸々と張ったいい底部をしており、たいへん好ましい作例です。釉薬の呈色もよく、比較的淡い釉調が上品で、唐三彩の魅力の一つである釉の流れと混合のバランスも見事です。加えて、獣足は力強く、ササン朝ペルシアの影響と思われる異国情緒を醸しています。
出土は大正期と考えられ、当時作られたであろう塗りの木箱が付随しております。大正期出土の唐三彩は、塗りの木箱に入っていることがしばしばあり、一説にこのような箱は中国で作られたと云われております。
ある程度の大きさがあるので、展示してもたいへん見栄えのする作品です。ご興味のある方はお気軽にお問い合せ下さい。