台の上に香炉、杯、菓子、そして魚など様々な供物が載せられた、ミニチュアの明器です。供物台は厚くしっかりとした作りで、布が敷かれた様子も丁寧に表されています。多様な供物は全体にコミカルな要素がありながら、細部に至るまで造形が表現されそれぞれに見どころがあります。特に魚は笑っているようにも、怒っているようにも見えるユーモラスな姿で表現されており、特に目を惹く一点です。
釉薬は低火度の緑釉と黄釉を基調とした、いわゆる三彩陶器の部類に属します。三彩は「唐三彩」が有名ですが、その後も金や元の時代にも連綿と引き継がれていました。華やかでエキゾチックな雰囲気を湛える三彩は、いつの時代でも実用的な器というよりも副葬品としての役割を担っていたと思われます。
美術館などでも類例の少ない一品ですので、是非ご覧いただければと思います。