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白釉搔落牡丹唐草文広口壺

磁州窯
北宋(11〜12世紀)
高 7.6 cm 口径 13.5 cm

来歴

Dikran G. Kelekian(1867〜1951年)旧蔵.
Sotheby’s ニューヨーク, 1999年3月26日, lot 296.


出展

「Le Musée des Arts Décora」ルーヴル美術館, パリ, 1914年.
シカゴ美術館, シカゴ, 1917年.
クリーブランド美術館, クリーブランド, 1931〜48年.




Cizhou ware
Northern Song dynasty (11th–12th centuries)
H. 7.6 cm Mouth Dia. 13.5 cm

PROVENANCE

Dikran G. Kelekian (1867-1951) Collection.
Sotheby's New York, 26 March 1999, lot 296 (part lot).


EXHIBITED

Le Musée des Arts Décoratifs, Musée du Louvre, Paris, 1914.
The Art Institute of Chicago, Chicago, 1917.
Cleveland Museum of Art, Cleveland, 1931-48.






北宋時代の磁州窯で作られた、輪花の口縁を持つ珍しい形の壺です。素地の上に厚く掛けられた白土の乾かぬうちに搔き落とし、グレーの地を表す「白地搔落」は、白黒のコントラストが鮮烈な「白地黒搔落」などと比して派手さはありませんが、その分優美な趣があります。本作においても、口縁の柔らかい造形と相まって上品な印象に繋がっています。

胴部には深く刻された牡丹唐草文様が配され、白と灰色の色彩と唐草のリズムがあります。深い彫りによって文様を表す技法は、非常に彫刻的かつ立体的で力強さが感じられます。本作のような深い彫りの作例は、磁州窯と同じ河北省にある「響堂山石窟」に見られる六朝時代の高浮彫りから陶工たちが発案したという説もあります。唐草文様に西方的な要素や仏教的な美質を感じることもできるかもしれません。いずれにせよ陶技と彫技の競演が本作の魅力と云えるでしょう。

この壺は、鑑賞陶磁の歴史の中でも早く20世紀の初頭の展覧会に出陳されていました。1914年のルーヴル美術館での展観をはじめシカゴ、クリーヴランドでの展覧会歴を有している点は貴重と云えます。また、旧蔵者Dikran G. Kelekian(1867〜1951年)はイスラム美術や中国美術を扱うコレクターディーラーでした。この磁州窯広口壺からはそこはかと西方の文物に通ずる雰囲気が感じられますが、その感覚を彼は見抜いていたのでしょう。