瓦は建築の屋根に葺くためのいわば建材ですが、古代の寺院や宮殿などのものには美しい文様や装飾が施されており、これらは美術品として鑑賞される一分野となっています。東アジアで様々な瓦当がある中で、特に統一新羅に作られた瓦や塼は特に魅力的な作例で知られています。大唐の風を受けた華やかな文様構成を元に、新羅の美意識でもってより優雅に発展させた雰囲気が特徴です。
雲中を飛び交う飛天の肉付きは柔らかく自然で、立体感が感じられます。また二飛天の動感も十分に感じられ、まるで仏教絵画を観るような質の高い作例です。瓦や塼といった陶器のタイルは型で製作するために、その抜けの良さが美術的には重要になってきます。本作のように凹凸がしっかりした瓦は多くありません。