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白磁水注

盛唐~中唐(8世紀)
高 22.7 cm 胴径 16.0 cm

来歴

繭山龍泉堂.




High Tang-Mid Tang (8th century)
H. 22.7 cm Torso Dia. 16.0 cm

PROVENANCE

Mayuyama & Co., Ltd., Tokyo.






8世紀、盛唐から中唐の頃に作られた白磁の水注です。肩から底へとなだらかな曲線を描く胴部に把手と注口が付くだけの極めてシンプルな造形です。口部や把手には厚みがあり適度な重量感がある一品です。きめ細かな白い胎土にかかる失透性で温かみのある釉色が魅力の一品です。

青磁が玉への憧憬と関連付けて語られることが多いように、白磁のそれは銀器やガラス器と云えましょう。その釉調は中唐期以降に隆盛を極める邢州窯白磁に代表されるように、時代が下るとともに失透性の温かみを感じるものへと変化します。それは、胎土や釉薬、焼成技術・環境の差異に起因すると考えられますが、白磁に求めるものが銀器やガラス器の代替から白磁自体の美質へと変化したことにも関連するように思われます。それは、同時代に著された『茶経』にあるように往時の人たちが釉色を雪に例えて賞翫していたことからも窺われます。

造形面では、バランスの良さと注口の形が目を引きます。前時代のものに比して全体的に縦方向に伸びるフォルムで首と胴部の長さの比率やボリューム感に破綻のないバランスの良さが見て取れます。また、機能を果たす必要最低限まで余分なものをそぎ落としたかのような注口の形状は、この時代から散見されるようになります。シンプル且つミニマルであることを特徴とする宋磁的造形の萌芽と云うことができるでしょう。

本作はその特徴から古くに日本に将来したものと考えられ、かつて繭山龍泉堂で扱ったことのある作品です。