初唐の頃につくられた堂々と大きく立派な白磁壺です。卵形をした胴部は、隋時代から初唐を代表する器種の一つである龍耳瓶の胴部と相似した器形で、当時の風が感じられます。本作は、肩部に二重圏線が施される以外に装飾がない無頸の壺で、きめ細かな白い胎土に流れ落ちる青味のある釉流れが良いアクセントになっています。底はベタ底で周囲が面取りされた丁寧な作りとなっています。
元々はベレー帽のような扁平な蓋が伴う有蓋壺で、同形の三彩壺がロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に所蔵されています。卵形の胴部を持つ壺は7世紀半ば頃から見られるようになりますが、本作のように頸部がないものは白磁、三彩のいずれでも数が少なく、かなり希少な一品です。