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五彩鳳凰文盒子

景徳鎮窯
明 萬暦在銘(1573~1620年)
高 14.1 cm 胴径 29.1 cm

Jingdezhen ware
Ming dynasty, Wanli mark and period
H. 14.1 cm Torso Dia. 29.1 cm




径30センチに迫る、堂々たる大盒子です。径の大きさだけでなく、蓋が甲盛となっていることからボリューム感がより強調されているのでしょう。見た目の印象に違わぬ重厚な作りをしており、どっしりとした重量感があります。景徳鎮官窯では明・萬暦年間には本作のような優れた五彩作品が作られました。

天板には鳳凰が向かい合い、また側面も鳳凰が埋め尽くす意匠です。青花の上に、赤、緑、黄色の上絵が施され、五色の尾羽を持つと言われる鳳凰の特徴も鮮やかに描き出されています。さらにその間に吉祥の花唐草を配し、うつわ全体を吉祥文で覆い尽くす文様構成も萬暦らしい特徴です。釉の発色はまさに萬暦官窯といった華やかなもので、全体の色彩配置を計算したポリクロームの高い芸術性を有しています。底面は露体ですが、中央の銘部分のみ青花で銘が書かれているため施釉されています。銘も特徴的で、額縁のように四角く縁取られその外周は霊芝のような文様で装飾されています。これは萬暦作品でも優品にのみ見られる珍しいものです。

はっきりとした伝来は不明ですが、古箱が付随しています。日本では古くから優れた萬暦五彩が将来されており、のちの古九谷や柿右衛門様式、鍋島といった有田を中心とした日本陶磁に多大な影響を与えたと思われます。日本陶磁の豊かな色彩感覚の一つの原点とも云える、重要な作品です。